ブログ
Agri-Dent-Med.農食歯医連携の勉強をしてきました
はじめに
この勉強をするにあたって、講師の一人に桐村理紗先生という方がおられます。ホンマでっかTVなどのメディアに出ていてこのブログを読むひとは知っている人もいるかもしれません。医師の中では有名人なほうだとは思いますが、実は僕はこの方と7-8年前から知り合いでして、その方に呼ばれてイベントに行ってきました。
当時にこのヴィジョンの概要は軽く聞いていましたが、ここまで来るのに7-8年できたんだって感じです。僕の感覚で言うと10-20年の単位で必要かなって考えていました。
すごい勢いで有名になっていくのを見て、友人のつもりでしたが、一ファンとして応援させていただいていました。その推しかイベントに誘われたので行ってきたという流れです。
僕は歯科医師としては色々営業に回るほうだし、他業種連携みたいなのにも顔を出すし、「フッ軽ですね」とよく言われるほうだと思う。実はこのきっかけが桐村先生であり、旦那さんの一平さんでもある。その二人が僕を見出してくれたことによって、今のフッ軽がある。
そして、僕は人生においてこのフッ軽のおかげでいいことが色々あった。一番大きいのはオリンピックだろうか。三苫選手のトレーナーをしていた方と知り合ったのも大きい。これらの大元に桐村夫妻が僕にはあったのだ。
そんなこんなで行ってきたAgri-Dent-Med.農食歯医連携の話をしていこうと思う。
Agri-Dent-Med.農食歯医連携とは
「食べること」で、腸の“土”と、地球の“土”の両方を癒すこと
そして、土を介して、人と地球をつなぐプラネタリーヘルスの実践である
とHPでは説明されている。
その大元の学問として『微生物循環学』というものがあり、その『微生物循環学』というのが、
農学・微生物学・医学・歯学・栄養学などの知見を横断的に統合し、環境・土壌・植物・人間の体(口腔や腸など)に共生する微生物の循環と相互作用を探究する学際的な領域。
であるとされている。
僕は歯科医師なので、口腔内の常在菌や口腔内の細菌のバランス(口腔内フローラ)について色々思うことがあった。口腔内には常在菌が多くいて、そもそもヒトという動物がそういう風にデザインされている。なんなら他のありとあらゆる動物がそういう風にデザインされている。そうなると様々なマウスウォッシュみたいに殺菌するのんってなんか違わないか?とずっと思っていた。その中でこの『微生物循環学』の考え方は僕の考えにも合っていた。
ただ、口腔のことだけを考えていた僕に対して、もっと大きい流れを見ていたのが、『微生物循環学』ということになる。あくまで大きい流れの中の一部でしかないのだ。その大きい流れが「土 → 食 → 口 → 腸 → 健康 → 環境 → 土」という流れで、その中で僕は専門家としては口を担っているということになる。
何をしたか?
初日
講義
土曜日の診療終わりに飛び出しで小淵沢(山梨県)に行ってきた。5、6時間かかっただろうか。最初は講義を聞いた。プラネタリーヘルスという地球規模で健康を考えようという内容だ。地球の土も微生物でいっぱいなら、ヒトとしての土台である腸も微生物でいっぱいだ。ヒトも細胞単位で言えばヒト自身の細胞数より微生物の数のほうが多いぐらいだ。その中で、殺菌という考え方はどうなのか?という思想だ。もちろん、当院は病院だし、病院などで滅菌や消毒殺菌は当たり前だ。それは間違えてはいけない。適材適所で使い分けだ。
そして、切土をした山の山肌が見えている状態はヒトで言ったらアトピーのように皮膚炎で角質が取れた状態だとか、木々の根が繋がって複雑に入り組んでいるのは神経ニューロンなどの脳などのデザインと同じだ。そういった感じで山をヒトのように見たて話を聞いたりして、明日はその治療しようという話をしていた。
ディナー
その後、食事をした。オーガニックの明日作業をする畑で採れたものだ。かなり力強い味がした。なんというか、野生みのある味というかなんというか、春菊とケールが特に美味しかったように思う。個人的には動物性のタンパク質も欲しかったが、それを差し引いてもかなり美味しいお食事であった。
懇親会
その後、懇親会があり、皆さんとお酒を飲みながら色々話をした。サントリーの白州の工場があるあたりらしく、白州を飲んだり、山梨のご当地の日本酒やワインなんかも飲んだ。昼からこれていた人は落花生や里芋を掘っていたらしく、それを塩茹でしたものもいただいた。この塩茹でしただけの落花生も里芋も美味しいこと!発酵食品の会社が主催というのもあり、そこが作った色々な種類の麹味噌を付けて食べた。どれも本当に美味しかった。そうこうしているうちの夜も更け、明日は朝から畑仕事なので、シャワーを浴びて寝た。
最終日
農作業
朝から農作業だ。春菊をもぎって食べ、にんじんをみんなで掘った。ここでまた講義があった。農業担当の方が講義をやってくれたのだが、その話がまた凄かった。土壌の細菌の多様性を保ち、いい状態にし、植え方などにも注意すれば、無農薬でも虫がつかないし、形のいい素晴らしい野菜が採れるというのだ。
無農薬の有機栽培の野菜といえば、虫食いで歪んだ形をしていてそれが健康の印みたいなことを言われたことはないか?少なくとも僕はそう思っていた。それが根っこから覆された。
土壌が健康であれば、土でわさびを作り、バリバリ殺菌しないと無理と言われている朝鮮人参を無農薬で作り、挙句畑で米を育て上げたというのだ。僕の常識とはなんといい加減なものなのか。これが本当に驚いた🌾
そのために作られた堆肥は魂がこもっていた。自社で作られている酵素の搾りかすなどを使い、鶏糞や牛糞などは使わず、発酵させ、土に豊富な菌や栄養を持たせていた。何度も成功失敗を繰り返し、そして導き出した方程式なのだ。その土や野菜からは明らかな努力と苦労が感じられた。
朝食
そして、みんなで朝食。その畑で取れたにんじんに、玄米の焼きおにぎり。その畑の春菊や里芋などの入った汁。どれも美味しかった。外の環境や綺麗な空気に綺麗な風景全てのおかげで美味しくいただけた。朝食中にその農業をしている会社(メインは違う事業)の会長さんとも話ができた。トップの考えが環境のことを考えているからできるのだ。ずっとそう考えて生きてきて、体現したのだろう。理念だけでなく、経済的にも成功していないとできないことだと思った。
山仕事
朝食後、山仕事をした。ボサ置きという切土をして、見えてしまった山肌を治すような処置だ。初日に講義があった内容で、時間の関係である程度お膳立てをされていたので、比較的楽な仕事だった。本当はお膳立ての部分が大変そうだったので、次回はもっと色々したいと思う。
そこですごく印象的だったのが、子どもがめちゃくちゃ楽しそうに遊ぶのだ。山には何もない。ただ走り回ったり追いかけっこをしたりしているだけなのだが、すごく楽しそうだ。ボサ置きにしても木の枝や木の葉を運ぶ仕事を率先してやったり、杭打ちなんかは大きいハンマーの取り合いだ。すごく健全な遊びだなと感じた。
特に東京の都会の子どもらしく、土に会うこともないという。子どもからしたらいろいろな匂いや風景は五感を刺激したのだろう。そういった経験がきっと子どもたちにとっていいものになる。
未生地(みしょうち)といって、どんぐりの木の下にどんぐりが落ち、芽をいっぱい出していた。奈良の田舎に住む僕は疑問に思う。こんな環境の整った山ならシカ🦌やイノシシ🐗がいるはずだ。こんなドングリの芽がいっぱい育つはずがない。みなさんは知っているかどうかわからないが、シカやイノシシは本当に根こそぎ新芽や木の皮を食う。イノシシが畑に出ようものなら一晩で全部ひっくり返される。
話を聞くと、環境の整った地でどんぐりが落ち、根を出すとまっすぐ地面に根を刺し、簡単には抜けないという。そうして育った木は根がしっかり張り、そういった木はまず倒れない。
鉢で育てられた苗木を植えても根が丸まっているので、深く地に根が刺さらない。そうなると台風で倒れるし、地面深くに根が張っていないので、地滑りなんかを起こすリスクが上がる。同じ木ばっかりではなく、さまざまな種類の木も生えないといけない。森も多様性が重要なのだ。そもそも同じ種類ばかり生えているというのが環境としてはおかしいのだろう。
長々と話をしたが、根がまっすぐ深く刺さっている新芽はシカからすると食べにくいものになるらしい。そして、木の根が深く広く広がっていると、それぞれの根が繋がり(厳密には菌根菌を介した間接的なネットワーク)、脳のようなニューロンが絡み合った体系を示し、連絡を取り合うそうだ。誰かが食べられた時に他の木に連絡し、ポリフェノールなどの動物や虫が嫌う成分を大量に生産する。そして、最初に食べられた木が救われることはないが、そこからの信号によりポリフェノールを多く作った他の木は守られるそういう仕組みになって、森は守られているという。
環境が整うとはそういうことを言うのかと、目から鱗が落ちた。そんな仕組みになっていたのだなぁ。
ロビー活動
そして、帰りの道中に姿勢の話をすると興味を持ってくれた医師がいて、昼食までの時間少しあるのでロビーで話をしようということになった。そこで、『骨で立つ』という内容や、本来の歩き方はこう、ヒトという動物はこういう風に育つようにデザインされていて、その流れに乗っていたらそうそう歯並びが悪くなるということはない、みたいな話をしていたら他の先生方にも興味を持っていただいて人だかりができていた。
僕はそういった情報を広めたかったので、こんなにありがたいことはない。
昼食
そして、またおしゃれな昼食を食べた。ワンプレートにまとめられて、ここにきてからの食事で唯一の動物性タンパクの魚を食べた。身体を動かして食べるご飯の美味しいこと。そこでお話をさせてもらったもう一人の講師の石黒伸先生。ちょうど奈良でのイベントも考えているということで、お話をさせていただきました。
奈良の環境やどういったことを考えておられるか、地球に対する治療をしているようでした。結局ヒトを治すというか、そもそも病気にならないためには環境を整えることが大事で、それは自分のためであり、ヒトのためであり、地球のためになるというプラネタリーヘルスの考え方、その根源にある微生物循環学の考え方というのが、本当に繋がっていくのだなと感じました。
そもそも医療従事者って誰かのためになりたくてその職業を選んでいるので、やっぱり根本的にいいひとが多いなと思いました。そして、目の前の誰かを良くしたい、地球環境を良くしたら今目の前にいるひと以上に向こうでひとが喜んでくれていると感じるとやっぱり嬉しくなる。そしてそれが地球にもいいとなれば、こんなにいいことはない。
作戦会議
最後は作戦会議と称し、みんなでさまざまな案を出した。今回のような体験をどのように広めていったらいいかということだ。僕らのチームが出した案は親子で参加できるような形にすればいいのではないか?というものだ。今回も親子の参加をしておられる方がいたが、なんせ子どもが山で楽しそうに遊ぶのだ。
特に都会の子は土に触れる機会すらないという。そして、関西からはアクセスしづらいが、東京からなら電車で2時間。旅行にはちょうどいい距離ではないだろうか。関西にもそういったポイントを作って欲しいものだ。
そして、病院や歯科医院が窓口になって合同でこういった体験を処方するのだ。
本来病院にはいかずに済むならそうした方がいい。歯科医院に関してはメンテナンスに定期的に行く必要がある。僕はそもそも歯科医院の定期検診で脈診などをしてそのひとに合った漢方を処方するという医院を目指した。しかし、当時コロナ渦で漢方に世の中の目が移り、小口の歯科医院にわざわざ卸してくれるプロパーがなかった。そもそも病気にならないためには環境が大事だ。その環境を処方するのだ。
ゲームばかりしている子どもが多い中、この体験は大きい。ゲームを置いてくればデジタルデトックスにもなるだろう。これがどれほど身体にいいかは論文レベルでは証明されていない。まぁ山や遠くを見るのは視力の回復にいいことぐらいはわかっているがせいぜいそれぐらいだろう。でも、なんとなくだが山に入ったことのある子どもと入ったことのない子どもでは入ったことのある子どもの方が健康そうだ。実際運動能力を上げる運動として木登りがいいという論文はある。木登りなんかをプログラムに入れれば身体能力は上がる可能性がある。
やはり、親子参加で畑仕事や山仕事を一緒にするのがいいだろう。実際、春先には田植えなどの体験が計画されているそうだ。それらを病院や歯科医院が窓口になって合同でこういった体験を処方するのだ。地球にもいいことをする、社会にもいいことをする、子どもにもいいことをする、そしてその行為を持って経済を回すのだ。これこそサステナブルというやつだろう。次世代に環境も社会も人間も残すのだ。
おわりに
全体を通して本当にいい経験になった。地球や社会のために明確にいいことをしているというのがいいだろう。そして、畑仕事や山仕事は本来土地の持ち主がお金を払ってしてもらわなければならないことだ。これを体験を売るという形でお金をもらってしてもらうというのはよく考えられたシステムだと思う。やるほうも好きでしているのだ。こんなにいいことはない。
プラネタリーヘルスという地球規模の健康を考え、ヒトの心も身体も健康になり、地球や山、川も健康になる。そして、それで経済も回る。いい事づくめだなと思った。
これを現実的にビジネスモデルとしてデザインし、それを実行に移せる段階まで来たのだ。とんでもない天才の所業だ。この企画のプロデューサーは常々各言葉を定義していた。そして、時にすでにある概念を再定義しなおし、よりいいものにしようとしてきた。それの最終形態がプラネタリーヘルスで、ここからまた回っていくのだろう。
明らかに良くないソーラーパネルが並べられた再生エネルギーよりよっぽど地球のため日本のためになっている。
皆さんもプラネタリーヘルスを考えてみてはいかがだろうか。