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美容整形を否定するとかしないとか

はじめに

先日、高須幹弥先生が『整形否定派のジョージ‐メンズコーチに教えてあげたいこと【整形してる女とは付き合いたくない】』という動画をあげておられた。高須幹弥先生を知らない方はお父さんの方はご存知かもしれない。美容外科高須クリニックの院長だ。ある一定の年代のひとだと「Yes!高須クリニック」というCMを見たことがあると思う。その高須クリニックの院長高須克弥先生の息子さんだ。

僕はこの高須克弥先生のことを尊敬していて、その流れで息子さんの動画をたまに見ることがあるぐらいの興味だ。

実は僕は高須克弥先生のことをテレビCMでたまに見る銭ゲバの嫌なドクターだと思っていた。ある日、たまたま何かのインタビューを見た時にすごく筋を通している発言をしていて、「あれ?そういえば人物像をちゃんと調べたことはないか。」と調べてみたのだ。そしたら本当に偉いひとだったのだ。医師で儲けているひとというのは商売人の医師で立場上そういうひとをよく見てきた。僕は高須克弥先生もそういうひとだと思っていたのだ。しかし、調べて出てくるエピソードはひととして、男として筋を通しているような内容ばかりだったのだ。医師としても非常に優秀で、本当に感心するばかりだった。医療人としての医師であるにも関わらず経済的にも大きく成功しているということを知ったのだ。これは本当に素晴らしい。

さて、そのひとの息子さんはどうなのか?正直学生自分の話を聞く限りは感じの悪いひとだったと聞いたことがあった。ただ、有名人のご子息であればふんぞり返っていたのか、はたまた周りのやっかみか。

少なくとも僕が動画で高須幹弥先生見ている限り、非常に考えに筋が通っていて方々に配慮のできる発言をしているように見えている。

同じ話題について僕も触れていきたいと思う。

美容整形の是非

最初に僕自身の立場を明らかにしようと思うが、僕は美容整形については是でもなければ非でもない。本人がそれでポジティブに生きれるならそれでいいと思うし、依存してしまうなら良くないという考えだ。おおよそ高須幹弥先生も同じ立場だと思う。

まず美容整形をどういう位置付けにするのかという問題がある。メスを入れたらダメなのか?じゃあ、毎日アイプチして二重にするのはどうなのか?化粧でも美容整形以上の結果を出しているひとも多くいる。毎日化粧するのがよくて美容整形が悪いライン引きがわからない。このジョージというひとは「遺伝子は変えられない」とか「子どもと顔が違うのはかわいそう」というのが言い分だった。

まぁ僕は見た目に自信のないタイプなので、ある意味かわいそうな部類ではあるのだが、兄が二人いて二人はモテると自称するぐらいには男前だ。同じ遺伝子の兄弟でもそれだけ顔が違うわけだから、見た目はある程度どうしようもないわけで、そこを槍玉に上げるのはいかがなものかとは思う。しかし、このジョージという人物は「確かに!」ということも言っていて、太ってたら痩せるとか身なりを気にするとか他にやるべきことがあるだろうとのことだった。「それは確かにそう」とは思う。

じゃあ歯科矯正は?

歯並びが悪いのを直す(あえてこの字を使っています)のはどうなのか?場合によっては外科矯正というものもあり、手術を伴うものもある。歯を削るというのは外科的な行為だこのあたりのライン引きが明確でないのに美容整形が悪いが歯科矯正はいいというならばそれはナンセンスと言っていいだろう。

僕は歯並びが悪い場合、基本的に歯科矯正はした方がいいと考えている。美容整形と違い原則ゴールがあり、そこに向かえばいいからだ。美容整形の難しいところはゴールがあるようでない。医師と患者が同じイメージをしているのか共有しづらいという面がある。

ただ、僕自身勧めない歯科矯正もある。それが『セラミック矯正』だ。歯並びの悪い歯を削って綺麗な歯の角度の被せ物を作って被せるものだ。場所が悪い歯は抜歯もあるし、角度が悪いと歯の神経をとることもある。目先の綺麗のためにかなりの犠牲を強いることになる。例えば、芸能人やモデルさんで今売れることに大きな意味があり、時間がないひとにはいいかもしれないが、基本的に一般人でそれに該当するようなひとは少ないと思う。

セラミック矯正の害悪性

僕は常々全身を診ての口だと考えている。これは口だけでも言えて、上下の咬み合わせのバランスを診ての上顎の歯並び、下顎の歯並びのバランスだし、上顎の歯並びとか下顎の歯並びの中の1本1本の歯のバランスだし、1本1本の歯の中でもバランスをとっている。この中に歯の形を削って角度の違う歯を入れるという行為はかなり注意深くやらないと1本1本の歯としてはバランスを崩しているので、力をかける方向はかなり注意しないといけないし、そこに違う角度の力をかけるということは全体的にはどうなるのか?ということは大いに考えないといけない。歯を削って違う角度から力をかけると十中八九知覚過敏が起きる。セラミック矯正をして知覚過敏になったというひとを何人も診てきた。事前に知覚過敏になる可能性は話をされているようだが、患者さんはどのレベルの痛みが来るかを想像できていない。時間で治ると言われているようだが、それが具体的にどれくらいなのか、どの程度の痛みがくるかは症例によるので術者も悪意があるとかではなく説明ができない。そして、実際セラミックを入れてしまったら「知覚過敏が出ても様子を観ましょう」と言われるのだ。良くならなかったら違う歯科医院に行くわけだが、そこで他院で入れられたセラミックを触ってしまうと保証が外れてしまう可能性があるし、何かあった時に「他院で触ったからだ」と言われてしまうと責任の所在がわからなくなる。結果、他院では触れないとなるが、元々の医院では「しみる」と言っても「時間が解決する」としか言ってくれないということになる。

僕はここでいうところの他院ということになるわけだが、この状況で来られても非常に難しい。しみどめの薬は被せ物に塗っても意味がないし、被せ物を触れないので咬み合わせの調整もできない。できることがかなり限定的になるのだ。

歯が本来のデザインで受けることのできる力の角度と違う角度で力を受けるわけだから歯自体の長持ちも難しい。そうなると神経とったことも相まってかなり歯の寿命はかなり短くなる。セラミック矯正をしようと80歳ならいいだろう。しかし、20代でセラミック矯正をして一生自分の歯で生きていくということは難しいと言っていいだろう。しかしセラミック矯正は若い世代がする治療なのだ。ネットを調べれば「入れ歯女子」みたいなワードも出てくる。もしセラミック矯正をするならそれらを調べてリスクを了承した上でするならいいと思う。

美容整形をするなら

長々と歯科の話をしてしまったが高須幹弥先生も依存するのは良くない、アヒルみたいな口になるようなやりすぎは良くないとしていた。多分、高須幹弥先生も商売で考えたらしてくれと言われたことを「はいはい」と言いながらした方がお金にはなるだろう。しかし、断ることも多いと言っていた。僕も断ることが多いのだが、真面目に患者さんのことを考えると必ずしも患者さんの言った通りにするということがいいとも限らないのだ。

某有名大手美容整形外科(高須クリニックではない)では、HPで書いている安い値段を書いておいて、このやり方ではできないと言って高い手術を勧めたり、さらにあれもこれもした方がいいと当初数万の予定だったのに何十万もの手術を契約させられたとか、研修医上がりの新米医師が手術して仕上がりが悪かったり、最悪死亡症例も多くあるそうだ。そういったところでは美容整形はしない方がいいだろう。

手術の手法、メリットデメリットをちゃんと説明してくれるところに行くといいだろう。値段は大きい要素ではあるが、そこだけで決めると人生においてもっと大きい損害を受けることになる。

僕が唯一強く歯科矯正を勧めた症例

僕は原則した方がいいと考えている一般的な歯科矯正ですら強くは勧めない。淡々とメリットやデメリット手法や可能性などを説明する。その中で僕は以前勤めていた医院で強く矯正を勧めた患者さんがいる。僕が最初見たときは20代の前半だったろうか、170cmぐらい身長のある受け口のひどい女性だった。性格も暗く、前髪で顔を隠し、猫背で自信のない感じ。おそらく受け口に大きい身長を周りにイジられたりした人生だったのだろう。ただ、この子は矯正さえ済めば綺麗になるという自信が僕にはあった。目も一重で細い目ではあったが切長で綺麗な目の作りをしていたし、スタイルや等身バランスもよく身長も相まって矯正が済めば冨永愛さんみたいになるのでは?と思っていた。今はルッキズムがどうのというかもしれないが、女性でも男性でも見た目がいいに越したことはないと僕は思っている。(自分が見た目あんまりなのは悔やまれるが泣)

手術症例なのは診てわかったので、手術までで2、3年かかること、手術までの矯正は受け口が一時的にひどくなること(手術が終わった段階で綺麗に咬合させようとするとそうなる)そこからも数年矯正が続くことなどを説明し、提携している矯正専門医のところを紹介した。期間もかなり長くかかるし、途中辛いことも多々あると思う。だが、あなたは頑張った方がいい。きっといい結果が出るはずだと送り出した。

スケーリングなどはこちらでしていたので、途中見ていたが暗いまんまだし、なんとか励ましながら過ごしていた。そして数年経ったある日、昼休みぐらいだったか声がした。その子の家族を全員見ていたので、その子のお母さんとどえらい美人が立っていた。

「手術も終わって腫れもひいたのできました。」

自分で言っといてなんだが、正直最初誰だかわからなかった。背筋も伸びて表情も明るく髪型も綺麗にしていた。女性は自信が出るだけで雰囲気から振る舞いまで変わるのだ。

そういった症例を見てきた身としては、美容整形を否定はできない。今回は特例中の特例だが、大学病院時代、口腔外科にいたのでこういった手術の前後を診てきたが、コンプレックスがなくなって綺麗になっただけでなく、自信を持ってキラキラ輝き出したひとを多く見てきた。コンプレックスをそこで捨てることができるなら投資先としては美容整形は優秀と言えるだろう。

その後、彼女はある日金髪ショートにしてきた。めちゃくちゃ似合っていたし、絵になる感じだった。話を聞くと美容師さんからカットモデルを頼まれたらしい。なにやら大会に出るのにモデルが必要だったらしく、その子に白羽の矢が立ったのだ。彼女は本当に人生が変わったと思う。あの時強く勧めていい結果が出て本当に良かった。それから彼女はアクティブに色々挑戦して、ワーホリに行ったり、就職したりしていた。きっと明るい未来が彼女を待っていることだろう。

おわりに

僕は見た目を気にするタイプではないので、見た目にあまりお金や手間をかけていないが、見た目を気にすることはいいことだと思っている。僕が見た目を気にしないのは自分という素材に限界を感じているということと、結婚して子どももいるのに急に色気づくと不倫を疑われるというのもある。40を超えたおっさんが急に色気付いたら怪しいだろう。最近は男性の脱毛も流行りだが、僕はしない。もしするとしたら妻から指示があった時だろう。

僕は美容整形はできないが、歯科矯正に関して相談は乗れる。僕で難しければ矯正専門医を紹介するし、簡単な症例であれば僕が対応できる。相談は無料なので是非!