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ネット広告の歯磨き粉の嘘🪥

はじめに

最近はネット広告が強制的に入ってきて見ることがある。ショートの動画なんかで流れてくるものだ。僕は歯科に関する検索が多いせいでそれらの広告がめちゃくちゃ入ってくる。しかし、それらの広告のほとんどは科学的根拠のない違法と言っていい広告ばかりだ。本来消費者庁がしっかり注意し、罰則を与えるべきなのだが、会社が海外にあるなどすると現実的に難しいらしい。もっというと違法な広告をしていても注意を受けた段階で「すみません」と言って取り下げれば罰則はほぼないと言っていい。

つまり、現状科学的根拠のない違法な広告を出しても歯磨き粉を売っている会社はすみませんと取り下げる準備だけしていればいいということになる。短期でガッと広告を出して、サブスク系の契約さえ取れれば特に問題ないのだ。そういった現状があることを理解した上でネットの広告を見るようにしよう。

歯石がボロボロ取れる

これは明確に嘘だ。しかし、そんな広告がバンバン流れてくる。ただ、一応調べてみた。まず歯石を取れるとする根拠だ。それは「ゼオライト」というものによるものだと書いてあった。では論文を調べてみよう。

まず僕の発言はこの論文を根拠にしている。「歯科におけるナノマテリアル: 最先端技術と将来の課題」リンクを貼っておくので、気になる方は根拠も読んでほしい。

色々な歯科におけるナノマテリアル(つまり歯科で使える物凄く小さい材料)について色々書かれている。その中に「ゼオライト」が入っているので引っ張ってきた。その中で書いてある「ゼオライト」の主な用途は再石灰化を促すことや抗菌性を持たせることなのだ。オステオインテグレーションというものも書いているが、この効果は石灰化の延長線上にあるものだと思っておいていただいて大丈夫だ。

そもそもそれらの効果も「ゼオライト」本体にあるものではなく、「ゼオライト」は小さい穴がある小さい石(小さい軽石)のようなものなので、複合材料として使うとそれらの効果を保持してくれるものになると書いている。つまりカルシウムイオンを放出するものと一緒に混ぜていれば、再石灰化の能力を持たすことができるし、銀イオンを放出するものと混ぜれば抗菌効果を持たすといったものだ。

つまりどこにも歯石をとるなどということは書いていない。ちなみにこれを書いていたHPは歯石がボロボロ落ちるという表記はなくなった。多分注意をされたのだろう。ゼオライトがカルシウムを取り除き歯石が付きにくくなるという表記になっている。今回参考にした論文でもカルシウムを取り除くようなことは書いていない。上記しているように小さい穴のある小さい石というだけなので、その小さい穴にカルシウムイオンを放出するような材質を保持できるようにしているだけでカルシウムを取り除く訳ではない。

メディアに取り上げられましたと書いているが、それらも歯石がボロボロ取れると言っていた時に取り上げられたものだ。取り上げられた事実だけ書いて、取り上げられ方は書いていない。まぁこれに関しては嘘はついていないか。

ものさえ売れれば嘘を書いてもいいというような状態になっている。悪意がある場合とない場合があるが、どちらにしてもいいこととは言えないだろう。

ホワイトニング効果

ホワイトニングというと一般的には歯を白くするという意味で捉えるだろう。ホワイトニングをうたっている歯磨き粉のパッケージやHPをよく見てほしい。小さい文字で「※歯の本来の白さ」と書いている。要するに着色汚れが取れるのであって、歯自体を白くしているという訳ではない。あとは「歯科医院でホワイトニングに使われる成分配合」などだ。これは「歯科医院でホワイトニングに使われる成分配合(歯を白くするとは言っていない)」ということだ。本当に歯を白くしたいなら歯科医院に行くことをお勧めする。オフィスホワイトニングという歯科医院でするホワイトニングをして、それを維持するためにホームホワイトニングという家で自分でするキットを作ったりするのがいいだろう。あとは治療したところ(被せ物があったり入れ歯)だったりは白くはならないので、それらの注意も必要だ。しかし、歯磨き粉にそういった注意書きはない。多分「※歯の本来の白さ」の中に「※歯の本来の白さ(被せ物とか入れ歯は自分の歯じゃない)」ということなのだろう。

あとは、テトラサイクリン歯といって妊娠期の母親や幼少期の自分の薬の服用のせいで歯に根本的に色がついてしまうことがある。それらはホワイトニングという作業では白くならないので、被せてしまうか、ラミネートベニヤといって、つけ爪みたいに歯の表面に白いセラミックをつけたりしないと白くならないことがある。それらも見てみないとわからないので、一丸にまとめていうのは難しい。

虫歯予防

これはフッ素一択と言っていい。含有量が多ければ多いほど予防効果がある。これに関しては明確な科学的根拠がある。継続的に摂取すると身体に悪いというひともいるが、日本の商品で含まれている量ぐらいなら基本的には問題ない。他国ではもっとフッ素が多く含まれている歯磨き粉は大量にあるし、もしそれでトラブルがあるなら全世界的に問題になっているだろう。

ただ、皆さん歯磨きをしっかりしていたら虫歯にならないと思っていないか?答えは「NO!」だ。なぜかというと歯磨きをするという虫歯リスクを下げる行為より砂糖を摂り続けるという虫歯リスクを上げる行為の方が強いからだ。つまり、歯磨きを頑張るのもいいことなのだが、ダラダラ食いを止めるとか砂糖を含む食べ物を避けるという方が虫歯のリスクを避けることができるのだ。

ただ、どうしてもフッ素を避けたい方は避けたらいいと思う。あくまで虫歯予防の成分なので、虫歯がないくらい綺麗なひとは使う必要がない。実際当院でもフッ素はしたいひとだけにしている。虫歯の多い子どもには勧めたりもするが、基本的には親の食事指導がメインとなる。

僕のオススメ

じゃあ、お前はどうなんだというひともいると思うので、一応僕からのお勧めだけ。口腔内は常在菌といっていつもいる菌がいる。その菌層(菌のいる割合)によって虫歯になりやすかったり、歯周病になりやすかったりする。そこでマウスウォッシュの登場な訳だが、某有名なマウスウォッシュは基本殺菌性だ。要するに菌を殺して減らしちゃおうというものだ。僕はこの方法に違和感を感じている。口の中には細菌がいっぱいいるという状況が正しい状況なのであって、殺菌してもあまり意味がないのではないかと考えている。実際3−4時間経てばマウスウォッシュをしたひととしていないひとと口腔内の細菌の数は変わらないと言われている。

そこで僕がお勧めするのは「L-8020乳酸菌」だ。

どういったものかというと、実は虫歯になりにくいひとは歯周病になりやすくて、歯周病になりやすいひとは虫歯になりにくい傾向にある。これは虫歯を予防するために必要な唾液の成分と歯周病の原因になる歯石を作る成分が同じことに端を発する。要するに唾液に含まれるその成分の量の差ということになる。ここは変えることはほぼできないが、口腔常在菌の菌層の割合を変えることはできる。

虫歯になりにくいひとは歯周病になりやすくて、歯周病になりやすいひとは虫歯になりにくい傾向にあると上記したが、稀に虫歯にも歯周病にもなりやすい、虫歯にも歯周病にもなりにくいというひとがいる。この虫歯にも歯周病にもなりにくいというひとの口腔常在菌から分離されたのが「L-8020乳酸菌」だ。実際、虫歯菌や歯周病菌の活動を抑制する効果が認められている。

『NEO歯磨き』

僕の考えた歯磨きの手順はこれだ。

まず歯を磨く。歯磨き粉は使ってもいいが殺菌性のあるものは避ける(理由は後述)。もしくは歯磨き粉を使わない。口腔内にいる単純な菌の数を減らすことと、菌の栄養となる汚れなどを取ったり、薬効の邪魔になるプラークを除去するのがメインの目的だ。

次に、「L-8020乳酸菌」のタブレットをゆっくり口の中で溶かす。そうすることによって、口腔内の菌層の割合を「L-8020乳酸菌」が多い状態にするのだ。殺菌性のあるものを避けた理由はここで「L-8020乳酸菌」を入れるためだ。殺菌性の高い成分があると「L-8020乳酸菌」も死んでしまう。どうしても使いたい場合は「L-8020乳酸菌」を入れる前によく口をゆすいでほしい。

口腔内に入れる細菌の数は限界がある。細菌数を減らしたタイミングで「L-8020乳酸菌」を入れることによって、口腔常在菌の菌層を変えてしまおうというのが狙いだ。

僕は実際自分の子どもにこれを行なっている。今のところ虫歯はない。ただ、この『NEO歯磨き』のおかげだけとも思っていない。当然砂糖をある程度制限しているし、ダラダラ食いなどさせない。それらがあって虫歯がないのだ。

ただ、歯磨き習慣をつける上で、歯を磨いた後にご褒美ということで「L-8020乳酸菌」のタブレットをあげている。そうすると歯磨きもスムーズに行くし、子ども本人も歯磨きを嫌がらない。

おわりに

方法も簡単で僕が推奨する『NEO歯磨き』、皆さんもどうだろうか?

口腔内の細菌を減らすのはいいと思うが、殺菌性のあるものを口に入れるのはどうなのかな?と考えていた末に行き着いた結論だ。もし、皆さんがオススメの歯磨き粉だったり、これが気になるというものがあれば調べてみますので、教えていただけたら幸いです。