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歯並びの新常識‼️〜姿勢や足裏の感覚は歯並びに影響する〜

はじめに

僕はずっと姿勢が大事と言ってきたのだが、それには訳があった。歯並びが悪い子の姿勢が気になっていたからだ。特に昨今のディープバイト(イーってした時に上の前の歯が被り過ぎて下の前の歯が見えない)の子どもは猫背なのが気になっていた。ただ、医師や歯科医師は科学者であるべきだと思っているので、科学的根拠のない話はあまり大きな声では言えなかった。

この度それを証明してくれる論文を見つけた。

これからは声を大にして言いたい!

Xではあまり詳しく説明できないので、ブログでもう少し掘り下げようと思う。

姿勢が歯並びに影響を与えるという科学的根拠

直訳する(英語の題を載せるとブログがバグる)と

小児における不正咬合と身体姿勢および頸椎、足底系、歩行パラメータとの相関関係:系統的レビュー」といったところだろうか。

論文にはそれぞれランクがあり、論文の中でもメタ解析という種類の論文が比較的信頼度が高く、1例報告というのが信頼度が低い論文の種類ということになる。じゃあ1例報告なんかいらないじゃないかと思うかもしれないが、そういうわけではなく、1例報告はこんな珍しい症例がありました。みんなも一応知識として知っといてねみたいな内容だ。いつも確率の高いことばかり起きるわけではない。レアな症例もある。それらの可能性を知ること、その時にどんな対応をしてどんな結果が出たということを知っているのは大事なことだ。

今回紹介した論文はメタ解析の論文でインパクトファクターは3.0ぐらいだ。割と信頼がある論文と言っていいと思う。

気になる方は原文を読んでいただいて、それは難しいという方は僕の要約を見ていただいて、それもしんどい方は✅ 結論だけ見てください。

✅ 総合的な要点まとめ(子どもの不正咬合と身体機能の相関)

🔷 強い相関が確認された領域

• 不正咬合と全身姿勢:

• 10本中8本の研究で明確な関連性が報告されている。

• 特に AngleクラスIIでは骨盤のねじれや姿勢の非対称性と関連。

• 側弯症との合併例も多く、咬合と脊柱の問題が連動する可能性。

• 不正咬合と頸椎の形態・頭部姿勢:

• 6本中5本の研究で関連が認められた。

• クラスII:頸椎の湾曲増加、前方頭位と関係。

• **クラスIII:頸椎が直線的(湾曲が減少)**という特徴が見られる。

• 不正咬合と足部姿勢(FPI, Clarke角):

• クラスIII:扁平足傾向、FPI高値、Clarke角低値。

• クラスII:重心前方偏移、足部機能への影響が示唆された。

• 不正咬合と動的姿勢(歩行):

• RPE(急速拡大装置)治療後に歩行中の頭~足方向(頭尾軸)の姿勢改善が確認された。

• 混合歯列期の小児において、不正咬合のある子どもはステップの長さや重心移動に違いがある。

🔷 相関はあるが中程度~限定的と考えられる領域

• 不正咬合と足圧・下肢バイオメカニクス:

• 不正咬合と足部荷重分布、支持基底面との間に中程度の相関。

• 犬歯クラスIIにおける歩行周期や足圧時間との関連が目立つ。

• RPE(急速拡大装置)と静的姿勢:

• 歩行時(動的)には改善があったが、静的姿勢には影響がなかった。

• 姿勢改善は一時的・限定的である可能性あり。

• 不正咬合と姿勢異常(病的歩行、オープンバイト等):

• 病的歩行がある小児の**13%に咬合異常(垂直的)**が見られるが、

• 相関の強度は研究間でばらつきあり。

🔷 相関が認められなかった/否定された部分

• Gargらの研究(頭部姿勢と不正咬合):

• 姿勢角度に違いはあったが統計的有意性は認められなかった。

• 相関係数も予測性に乏しく、「頭部姿勢は不正咬合の一因ではあるが決定的ではない」とされる。

• Costaらの研究(呼吸様式と交叉咬合):

• 交叉咬合の有無は頭部姿勢や頸椎形態と独立して変動しており、

• 明確な関連は見出されなかった。

🔷 その他重要なポイント

• すべての関係が多因子的であり、単一要因からの説明は困難。

• 成長期の評価が中心であるため、加齢に伴う変化や予後を知るには縦断的研究が必要。

• **診断・治療における多職種連携の必要性(歯科・整形外科・リハ・視覚発達など)**が各所で提唱されている。

✅ 結論

• 小児の不正咬合は、身体の姿勢、足の構造、歩行パターンと複雑に関連している。

• 臨床的に重視すべきは「姿勢観察と咬合評価をセットで行うこと」。

• 今後の治療戦略として、歯科×運動機能の統合的アプローチが推奨される。

団体

今考えているのは、そういった団体を作ることだ。歯科医師や医師をはじめ、視能訓練士や理学療法士、鍼灸師、柔道整復師、看護師や助産師、本当になんでもいい。最低限の知識を担保するために医療系の国家資格を割いて条件にしようと思っているのだが、そういった方々と連携が取れるような団体を作ろうと思っている。この文章を読んでくれている医療従事者がいたら是非参加していただきたい。

おわりに

ずっと関係あるなと持っていた姿勢と歯並びの関係なのだが、やっと科学的根拠を得た。これがないせいで、大きな声では言えず、「僕はそう思っている」や「あくまで個人的な意見」という形で留めてきた。しかし、この結果があるので、これからは声を大にして言っていきたいと思う。