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子どもの歯並びはいつから気にするべき❓パート1
はじめに
子どもの歯並びはいつから気にするべきなのだろう?
僕は小学1年生の段階で歯のスペースが足りないと基本的には歯科矯正を考えた方がいいと考えている。しかし、それまでにできることはないだろうか?と個人的に研究してきたし、多くの論文をはじめとする文献にあたってきた。それらの話をしていこうと思う。
なぜ小学1年生なのか?
増田純一 Health Dentistry グレードル 2015からの引用。
7歳前後の子どもの口蓋の形を大きく3つの形に分ける。下記の図は上顎の歯並びを下から見たものである。
この時、
◯型口蓋に該当するこどもの6年生時に咬合状態が
『良』だったこどもは80.2%
『不良』だったこどもは19.8%
△型口蓋に該当するこどもの6年生時に咬合状態が
『良』だったこどもは3.6%
『不良』だったこどもは96.4%
V型口蓋に該当するこどもの6年生時に咬合状態が
『良』だったこどもは0%
『不良』だったこどもは100%
つまり7歳前後の段階で歯並びが悪かったらほぼ歯並びが悪いことが決定してしまうということだ。
だから小学生に入った段階で歯並びが悪かったら矯正を考えていかなければならない。しかし、大人の矯正と違い子どもの場合は成長を使うことができる。要するに大人の場合は歯が並ぶスペースを作るのに歯を抜かないといけないことがあるが、子どもの場合は歯を抜かなずに成長を使ってスペースを作ることができるという利点があるのだ。
しかし、ここまでは他の歯科医師が発信している内容でもあるだろう。僕はもう少し先の話をしようと思う。
小学1年生までにすることはないのか?
もう少し小さい子ども用のマウスピース矯正みたいなものもある。プレオルソ®︎というものやV-kids®︎というもので当院でも取り扱いはある。しかし、そもそも歯科矯正を使わなくて済むならその方が良くないか?と思うのだ。僕は動物が好きで思うのだ。
「野生の動物だったら歯並びが悪かったら死んでしまう。」と。
最近の子どもを見ていると僕の体感でいうと60%-70%以上は矯正が必要だと感じている。つまり、半分以上。歯科矯正が必要なのが普通になってきているということだ。僕はこれにすごく危機感を持っている。現代がそういう時代になってきてしまっているのだ。親が悪いのではない。社会が悪いのだ。これに抗っていくにはどうしたらいいのか?
歯並びが悪くなる原因
上記にある△口蓋やV字口蓋になってしまう原因はなんだろうか?
◯型口蓋に見られる歯並びの馬蹄型と言われるU字の歯並びはご理解いただけるだろうか?なんとなく綺麗な歯並びという感じだと思ってもらえればいい。そのU字型はなんの形かというと「舌」の形なのだ。
何が言いたいかというと舌のある正しい位置は上顎だということだ。
口唇や頬は基本的にずっとある。横から押される形になっているのだ。それを舌が内側から支えることによってU字型が保たれており、この支えがないと横から押されて△型やV字形になってしまうのだ。
舌が上顎にない状態の代表例が「口呼吸」だ。口呼吸は万病の元で、歯並びが悪くなる原因の代表格と言っていい。
では、口呼吸をはじめ、舌が上顎にちゃんとつかない理由はなんだろうか?
哺乳の大事さ
実は生まれてすぐの話になる。そもそも生まれたばかりの赤ちゃんは原則鼻呼吸しかしない。なぜかというと母乳を飲むときに口呼吸していたらむせるし、飲めないのだ。赤ちゃんがおっぱいを飲んでいるときに息継ぎをしているのを見たことがあるだろうか?おそらくないだろう。
つまり、口呼吸は鼻が詰まったりその他の事情で口呼吸を後天的に覚えてしまうということなのだ。
上顎に舌を収めるということについては、哺乳が大事になる。赤ちゃんがお母さんのおっぱいから哺乳するとき、チューチュー吸っている訳ではない。お母さんの乳首をラッチと言って包み込みながら、上顎に押さえつけて、下顎をグラインドさせながら飲んでいるのだ。このとき上顎に舌を収めることを学んでいる。お母さんは眠たい中2、3時間おきに授乳し、しんどい思いをしていると思う。しかし、その行為一つ一つは自分の子どもの歯並びにいい影響を与えているのだ。もし、母乳の出などに問題がないならおっぱいでの授乳をお奨めする。
哺乳瓶育児はダメなのか?
では、哺乳瓶育児はダメなのか?ということになる。もちろんそんなことはない。母乳が出にくいお母さんもいるだろうし、場合によっては病気の治療のせいであげたくてもあげられないひともいるかもしれない。なんなら男性が育児するためには必須アイテムにすらなる。
母乳育児(おっぱいでの育児という意味で使っています)で育っても歯並びが悪い人もいるし、哺乳瓶育児で育っても歯並びがいいひとはいるのだ。あくまで複合的な要因で歯並びは決まるので、これだけでどうこうということはない。
では、母乳育児と哺乳瓶育児の何が違うのかというと赤ちゃん側の飲み方だ。哺乳瓶の場合は特に簡単に飲めるようにゆるい乳首を使うひとが多い。適切に乳首の強度を上げていくことが大切になる。これにはかなり時間を割かないといけないし、日々の疲れなどから赤ちゃんがすぐに飲めるように弱い乳首を使い続けることが多い。未熟な状態で生まれた子どもに関して、最初は母乳育児が難しいことだってある。ここでは弱い乳首をつかわざるおえないのだ。しかし、それでも段々強い乳首を使う必要があり、それができていないと飲み方を間違えて覚えてしまい、異常嚥下という状態になる。そして変な力がかかり続けることになり、その結果歯並びが悪くなるのだ。
哺乳瓶の欠点としてもう一つ、最後に飲み干すときに哺乳瓶の角度を上げてしまうことだ。このとき赤ちゃんの首は上を向いてしまい、舌が上顎につきにくくなってしまうのだ。こういったリスクが哺乳瓶にはある。それらを理解した上で上手に使えば哺乳瓶はリスクにならない。
その最後に上を向いてしまう問題があるのだが、これに関して僕は哺乳瓶の開発をしている。本当はさらにもう一つ上の段階の哺乳瓶の設計も考えているのだが、なんでも開発にはお金がかかり、そこでつまづいている。もしご協力いただける個人や企業のかたがおられるならご一報をお待ちしています。これから女性がもっと社会参加していくために必要なのは男性の育児参加だと考えています。そのために哺乳瓶というものは必須アイテムになります。その中で哺乳瓶の歯並びが悪くなるリスクというものを知識とシステムで回避したいと考えています。
そもそも「歯並びは綺麗で普通」なのです。
おわりに
さて長々と話をしてきましたが、子どもの歯並びは生まれてきてからの対策で大丈夫なのでしょうか。
実は妊娠期の女性の姿勢も関係してきます。ここから先の詳しい内容に関してはまたSNSでDMを送っていただくか、直接ご連絡いただくかして講義の方でできたらなと思っています。
次回はじゃあ「歯並び悪くなったらどうするの?」というところにスポットを当てて、リカバリー方法なんかを説明していければと思っています。
乞うご期待。