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子どもの歯並びはいつから気にするべき❓パート2

はじめに

前提知識が必要な内容になるので、「子どもの歯並びはいつから気にするべき❓パート1」をお読みでない方は先にお読みになってからこちらを読んでください。

前回のブログでも書かせていただきましたが、結論として大事なものは「姿勢」ということです。この「姿勢」の中には嚥下や口元の筋肉のバランス、赤ちゃんの時の抱っこの「姿勢」なども含む。

昨今しか業界でも「姿勢」が話題になっています。「舌骨の位置が、、、」とか、「足の指を広げよう!」とか。どれも間違っていないと僕は思っている。しかし、僕が言いたいのは「姿勢」のゴールをわかっていますか?ということだ。ミクロの視点ばかりでマクロの視点も持つ必要があると僕は考えている。

姿勢の強さ

元UFCファイターで現在も現役で活躍中の菊野克紀さんという方をご存じでしょうか。そのひとが提唱している身体の出せる強さの図があります。僕が少し改変していますが、おおよそこのような感じだ。

人間の出せるエネルギーの強さは「姿勢」、「動き」、「リラックス」、「意識」の順になっており、自由度はその逆というものです。この内容を全部話すとずっと話さないといけなくなるので割愛しますが、「姿勢」が一番強い力を発揮できるというのがポイントです。

ちなみに、「動き」や「リラックス」、「意識」の話まで進むと「姿勢」の時に話をしていた内容とは真逆のことを言ったりしますが、ここでは「姿勢」の話のみ話をしていく。

その昔、納税は米でされていた。1俵の重さはおよそ60kg。これは当時(明治時代)成人であれば男性でも女性でもまぁ一人で運べるでしょうという重さだと言われている。

米担ぎ競走

戦前の話ですが、僕の祖母がよく自慢していたことがある。

「私は米屋の娘やったから女学生時代米俵担ぎ競走負けたことないねん!」

米俵担ぎ競走っていうのは数m走った先に米俵が置いてあってそれを担いで何mか走ってゴールするという競技だそうだ。

これってスゴないですか?「ウチの祖母がすごいでしょ?」って話ではない。戦前は女学生、つまり女子高生が60kgのものを担いで移動できたということなのだ。仮に半俵だったとしても30kgだ。それを担いでみんな移動できたということなのだ。

当時の平均身長は男性で160cmちょっとで、女性で150cmちょっと。日本人はそれぐらいの身長でみんな60kgのものは運べる民族だったのだ。確かに昔はほとんどのひとが農業をしていたから、基本的に鍛えられていたとは思う。しかし、現代で60kgのものを担げる成人男性がどれほどいるだろうか?

脳に純粋な子ども

他にもこんなことがあった。僕の子どもが当時2、3歳だったと思うのだが、僕がトレーニング機材を店で見ていた時にケトルベルを持ち上げようとしていた。15kgのケトルベルで当時の僕の子どもが15kgぐらいだった。一応横にはついていたが、自重と同じ重さのものを持ち上げられるわけがないと見ていた。当然挙げ方もわかっていないから全然上がらない。微笑ましく見ているとある瞬間フトいい形になったのだ。その瞬間我が子は15kgのケトルベルを挙げたのだ。すぐにバランスを崩したので支えたのだが、非常に驚いた。おそらく子どもは脳に純粋なので、脳が欲している形に従ったのだろう。当然鍛えているわけではない。歩き出して数年ぐらいの子どもなわけだから筋肉もまともにあるわけない。しかし、自重と同じ重さぐらいは挙げることができるのだ。

運動経験のないおじさん

サッカー日本代表の遠藤航選手をご存知だろうか?このひとは歯科業界ではマウスガードにお金をかけていることで有名だ。そのマウスガードを作製している先生と知人のつてで知り合いになった。去年だったか4年ぶりに日本に帰ってきたらしく(ドイツのシュトゥッツガルトで歯科医師をしておられる)、歯科医師やコメディカル向けにマウスガードの話をされてその時に武道の話を少しされていたので、僕はもう少し深堀りできますよというと、すぐに来た。「この日に姫路に行く予定があるのですが、この日に先生の医院(僕の医院は大阪)によってもいいですか?」とのことだった。

当然「いいですよ。」と言い、昼休みに医院でその先生向けに体験型の講義をした。

「姿勢」の話、その結果どうなるかどのようなことが起きるのか、トップアスリートはこの部分が無意識のうちにできてしまっています、みたいな内容を90分ほどした。僕の講義は体験型なので実際その先生にもしてもらい、感覚に落とし込むレベルで理解してもらった。

この感覚に落とし込むところの理解はひとによって理解のレベルが異なる。僕の経験上運動経験のあるひとの方が高いレベルで理解できることが多い。この先生は運動経験がないという。しかし、トップアスリートを見てきているので、心当たりがあるらしくかなり芯をくった発言を多くされていた。正直こちらとしてはこのあたりまで理解してもらえたらいいなという部分を大きく凌駕してきた。

その後、日本での滞在は関東の従兄弟の家にお邪魔をしているとのことだったが、従兄弟相手にやってみて「先生ほど上手くあげれはしなかったですが、横にゴロンと投げるぐらいはできて、従兄弟も驚いていました。」とのことだった。講義をしている時も言っていたのだが、かなり長い期間股関節が悪かったらしく、自分でも「もう少し年を取ったら人工関節か、、、」と思っていたそうなのだが、僕の講義を受けて1、2週間後、「関係あるかどうかわかりませんが、股関節の痛みがなくなりました。」とのことだった。僕としては関係あると言いたいところだが、こればっかりはわからない。

まとめ

僕の体験型講義を2時間も受ければ力の流れの感覚は掴める。この流れを掴めなかったひとは今の所いない。縦方向もほぼ全員が体現できるレベルで理解できる。横方向、つまり腕のほうまでいく感覚は一般人なら五分五分ぐらいかといった感じだ。

少なくとも力の流れの感覚を掴めるとみんな感動する。今までにない感覚を手に入れるのだ。その感覚さえあれば、あとは自分で試行錯誤できる。逆にこの感覚がないまま次のステップにいくと暗闇の中歩くような鍛錬になる。この感覚を持って練習すれば野球での素振り一つ、空手での正拳突き一つの意味が変わるのだ。

「姿勢」を子どもに教える

では、それを子どもに教えるにはどうしたらいいのだろうか?

それは「自分(親)ができるようになる。」が正解だ。

子どもの「姿勢」は親の姿勢に近いことが多い。もちろん100%ではないが、親がしっかり立っていると子どもも立っていることがある。つまり、親が「姿勢」を理解する必要性があるのだ。小さい子どもに「ああしなさい」、「こうしなさい」と言ってできるわけがない。

症例を見てみよう

ちゃんとした症例写真ではないので申し訳ないのだが、上が2歳、下が6歳だ。左上の前から2番目の歯が2歳の時は後ろに行っていて、6歳の時には前に来ているのがご理解いただけるだろうか?

この子は矯正をしていない。ただただ日々生活をしていただけで歯並びが改善したのだ。理想を言うともう少し上顎が上強めの上前方に成長し、歯と歯の間がもう少しあった方が望ましいが、それはたらればの話になるだろう。

この子の両親は「姿勢」を厳しく正したそうだ。子ども自身はバレエをやっていることもあり、「姿勢」はいい。矯正をしなくても歯並びは改善するという例になるだろう。

僕が言いたいのは「ひとにはリカバリー力がある」と言うことだ。

この1例を以て「「姿勢」を正したら歯並びは良くなるんだ!」と言うつもりはない。あくまでこれは1例報告に過ぎない。ただ、可能性は示していると思う。

おわりに

赤ちゃんに授乳させる時から「姿勢」を意識し、子どもには歯並びが悪くなるリスクを限りなく下げる方が望ましい。しかし、万が一歯並びが悪くなったとしても、それぞれのタイミングでできることがあるということだ。しかも就学時前ならワンチャン生活を改善するだけでなんとかなる可能性があるということだ。僕はこれを目指している。

知識を得ることで「自分の子どもに歯科治療の必要のない人生をギフトしませんか?」というのが僕の医院のコンセプトだ。

基本的には歯科医師や歯科衛生士、助産師などの医療関係者、その他にはスポーツ関係者やスポーツ選手などに講義をすることがあるが、ママさんの集まりで話をすることもある。新型コロナの前にはママ友の集まりをカラオケボックスでして、子どもが騒いでも気にならないし、お互い仲良い(多分)ママ友同士なので気兼ねなくできた。ご興味のある方は医院のSNSは各種解放されているので、DMなどでご依頼いただけたらと思う。

みなさんも「姿勢」の力を体感してみませんか?