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大麻は身体にいいのか悪いのか

はじめに

『大麻が万能薬だ』というSNSを見たので、こういう風潮良くないなと思って調べてみました。そもそも万能薬はありません。それは間違いなのですが、自分も軽くは知識があります。しかし、明確に否定できるほどの情報を持っているかというと少ないかなと思ったので、勉強してみました。

他にも参考資料がありますが、これがメインの資料になります。

大麻成分の中枢効果:有用性と危険性

大麻について

大麻(Cannabis sativa L.,アサ科)は,世界で最も古い繊維作物のアサであり,温帯地方から熱帯地方まで広範囲にわたって生育する雌雄異株の一年生草で,高さは 2-3 m,乱用には葉や樹脂が用いられる。特に,雌株には幻覚作用を有する樹脂を多量に分泌し,開花期の初期が最も多くなる。大麻「別名:麻(アサ)」はわが国では弥生時代から既に衣類として重要な位置を占めていたといわれ,奈良朝時代の「万葉集」などにも掲載されているが,これを快楽や宗教的秘事の目的で使われた記録はない。このことは,幻覚や快楽を起こすような物質のテトラヒドロカンビノール(以下:THC) が当時の日本の麻には含まれていなかったと推測できる。事実,現在,わが国で栽培されている大麻は,THC を含まない「無毒大麻」である。

その後の中央アジアを原産地とした THC を多く含み,幻覚や麻酔作用の強いインド大麻(Cannabis sativa L. var. indica LAMARCK)が世界各地に分布し,日本産地の大麻も汚染された結果と言われている。THC を多く含んだインド大麻は,繊維のほか,痛みを和らげ,陶酔感や多幸感を起こす作用があることが3000年前から知られていたため、宗教、戦争、占術、医術あるいは快楽を目的とした大麻が広く乱用されるようになったのは 1960 年以降である。

大麻賛成派によく昔から日本では使われてきたと言っているひとがいるが、昔から使われている大麻と吸う大麻は別物なのだ。

大麻成分

大麻草中には酸素と水素と 21 個の炭素からなる カンナビノイド(cannabinoid)類と呼ばれる成分 が約 140 種類も含まれている。これら以外にアルカロイド類、フラボノイド類,テルペン類など約700種類以上の成分が含まれていることが報告されている。その中でもTHC、カンナビジオール(以下:CBD)は大麻による薬理成分の中心成分だと考えられている。

他にも多数あるのだが、今回は大きくTHC,CBDを説明していこうと思う。

大麻がひとに及ぼす影響

大麻を喫煙すると,2, 3 分以内に使用者の心拍数 は 1.5-2 倍に増え,血圧は上昇し,目の血管が膨張 して目が赤くなる。その後,10 分以内に多幸感、あるいは「ハイ」を感じ、1-3 時間程度持続する。中には,口の渇きを覚えたり,ひどく空腹になったりすることもある。手が震えて冷たくなることもある。陶酔感がしばらく続いた後,眠くなることがある。一方,食物や飲料などに混ぜられた大麻を経口 摂取すると,通常 30 分から 1 時間程度してから作用が緩やかに始まり,4 時間程度とより長時間持続する。このように大麻の喫煙は,経口摂取に比べてTHC の吸収が数倍よく,発現も早いことから喫煙が好まれている。

経口摂取の場合、作用が現れる30分の間に過量投与すると急性中毒になることがある。大麻による急性中毒症状は極めて深刻で、患者は入院の必要があり、特に何かに支配されているような”させられ妄想”や”誇大妄想”など妄想型統合失調症とかなり似通っている。

また,代謝酵素など使用者側の要因と,用量や摂取方法などの大麻側の要因によって大きく左右される。例えば,不安をもって吸煙すると不機嫌になり,猜疑的になる。これが高じると緊張や恐怖におそわれ,パニックを引き起こすこともある。一方では,躁病に似た気分の高揚,誇大的 になって饒舌になり,突発的に哄笑したりし,行動 は活発になるが、逆に多幸感が強く,緊張は解け, 非活動的,周囲への無関心など統合失調症様症状など相反する行動変容が見られることがある。このような特徴は他の乱用薬物の作用と異なる。

大麻のいいところ

THC

良くない精神症状の他に、鎮痛作用,食欲増進作用や鎮痙作用などがある。大麻による鎮痛作用は主にTHCと言われている。

CBD

THCのような精神症状はないと言われていおり、鎮痛作用,抗不安作用,抗炎症作用,免疫抑制作用などが報告されている。

このあたりを万能薬のように言っているようだが、もちろん万能薬などない。

しかし、多発性硬化症や脳挫傷、脳虚血に有効であるというデータがあり、脳を保護する作用があるのでは?と言われている。ただ、大麻常習者に脳萎縮の傾向があるという研究もあるがそれに関しては一定の見解を得られていない。

THCは有用性と危険性の両方を持ち合わせている。一方,CBDは中枢作用が弱く,抗炎症作用が比較的強いと考えられるが, THC の薬理作用に対して相乗作用と拮抗作用を有する。

他の大麻成分による薬理作用でモルヒネより臨床応用が多いとも言われている。相互作用などもあるので、単純に成分で分けるだけではわからない何かはありそう。

依存症について

よく言われることだが「大麻に依存性はない」。本当にそうだろうか。そもそも依存症とはどういったものなのだろうか。例えばお酒好きとアルコール依存症の違いはなんだろうか?両方ともお酒を飲むわけだが、ひとによってはお酒好きだが浴びるほど飲むひともいるだろう。お酒好きとアルコール依存症の違い、これは身体や生活を崩すほど飲んでいるかどうかとする。ある本で読んだ定義なのだが、ここでもただの〇〇好きと依存症の違いは身体や生活を崩すほどかどうかということにする。

大麻の成分に高揚感を示すようのものはあるものの、成分的に依存性のあるものということはないようだ(大麻にはわかっていない成分が多いため完全にないとは言えない)。しかし、大麻に依存性がないかと言われればそうではない。しかもTHCには異常行動を伴う場合もある。コントロールが非常に難しいと言えるだろう。

僕が読んだ依存症の本にも書かれていたのだが、依存症の本態をみんなわかっていない。高揚感や楽しい気持ちになるから大麻や薬をするのではない。苦しみから逃げるために大麻や薬をしているのだ。高揚感や楽しい気持ちは人間は我慢できる。しかし、苦しみから逃げることは人間は我慢できないのだ。

つまり、大麻に依存性のある成分があるないは依存性の本来の問題ではなく、そのひと自身が辛くしんどい生活から抜け出ることが大事なのであり、大麻がどうのこうのは問題の本質ではないのだ。しかも、大して調べずに安易に「大麻に依存性の成分はない」とか「大麻は万能薬だ」と言っているひとはなかなかその生活から抜け出すことは難しいだろう。このスマホのある時代に情報を精査せず、目の前にあるソースがわからない自分が欲しい情報に飛びついているようでは色々察するものがある。

おわりに

現状、いい点悪い点を天秤にかけるとわざわざ大麻を合法にする理由はないように思う。医療用大麻は確かに可能性は感じるが、まだまだ研究の余地があるし、コントロールが非常に難しい。単純に大麻が欲しいと言っているひとがコントロールできるとは思えない。

ただ、若者の中で大麻が蔓延していてコントロールできない領域であるのであれば、タバコのように税金をかけて合法化することによって税収を上げ、アンダーグランドにお金が流れるのを防止するという発想はありかもしれない。

少なくとも積極的に勧めるほどいいものだとは思わないというのが今回僕が調べた結果でした。

異論反論は認めます。