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吉村郁哉選手 優勝🏆

はじめに

みなさんは吉村郁哉選手をご存知だろうか?おそらくほとんどのひとが知らないだろう。空手道競技の選手だ。僕は東京2020オリンピックの空手道競技のフィールドドクターに行っていたのだが、その時は荒賀龍太郎という選手が組手で唯一メダルを獲った。その時の荒賀選手の練習パートナーだった選手だ。

吉村郁弥選手は84キロ超級という空手道競技の中では一番重い階級でプレーしている選手で、そもそもこの階級で世界で勝てる日本人は少ない。実際吉村選手は185cm90kgほどある選手だが、この階級では一番小さい部類に入る。そのような世界で戦っている選手だと思っていただきたい。

吉村郁哉選手との関係

吉村郁哉選手との出会い

僕は関西の大学生の大会の大会ドクターをしているのでずっと見ているはずなのだが、認識はなかった。出身は京都産業大学なので、荒賀選手と同じで、だから練習パートナーにも選ばれていた訳だが、彼を怪我の対応をした記憶はほぼない。僕はドクターとして試合に入っているので、何百人といる学生を認識している訳ではなく、よく怪我する選手などを覚えている。おそらく吉村郁哉選手はその当時から怪我をほぼしていなかったのだと思う。

そして、ドーピング0会というスポーツファーマシスト(薬剤師)の団体がある。その団体の代表が京都の方で、たまたま京都で吉村郁哉選手と知り合ったらしい。そこで、空手なら面白い先生がいるということで僕のことを紹介してくれたのだ。

初めて会ったのは試合会場だったと思うが、そこで少し立ち話をし、今度食事でもと別れた。食事までの間に海外の試合が一つあったので、その試合を観察し、吉村郁哉選手のクセやこういうところに欠点がある、ここはいいので伸ばしたほうがいいのではないか?ヒトという動物はこういう生き物なのでこうしてみてはどうだろうか?武術的な技術だが、こんなことは使えないか?とか色々提案をスライドにまとめていた。

吉村郁哉選手との食事

梅田あたりだったか個室の居酒屋みたいなところでお話させていただいたように記憶している。食事をしながら話を聞いてもらおうと思ったのだ。歯科医師なのに技術提供がマウスガードではなく、空手自体のことというのがちょっとおかしいのだが、それでも当時吉村郁哉選手の試合を見て気になるところがあった。もちろん彼が大阪にまできて、たっぷりと時間をくれるならマウスガードを作ろう。

その時に話をしたのは利き目の話と視野、ヒトという動物がいかにすごいバランスをとっていて、それがなぜなのか、逆にそれを利用するにはどうしたらいいのか?ということを話をさせていただいた。正直多少空手競技をしていたと言っても僕なんかでは素人に毛が生えた程度のものだ。指導者としては信頼もないであろう。その僕の話を真剣に聞いてくれていた。もちろん科学的根拠に基づく話をし、一般的な空手家では発見できない内容の話をしたつもりではいる。

吉村郁弥選手との約束

その時に約束したことがある。

1年以内に世界一になろう

僕が吉村郁弥選手の試合を見、実際近くで体格や肉付き、姿勢や精神性などを見た僕が届くであろうと判断した世界一までの距離と辿り着くための時間だ。

これが2023年6月1日だ。

僕は自分にできるサポートをできる限りしようと思っていた。

吉村郁哉選手のその後の活躍

その後も最重量級の中で日本の代表にはなるものの予選を抜けられない日々が続いた。予選は2試合なのだが、海外の選手は2試合で結構バテバテになるのに、吉村郁哉選手はピンピンしている。海外の選手はプレイのクオリティが下がるのに対し、吉村郁弥選手のプレイのクオリティが下がらない。僕は予選さえ抜けたら優勝できると思っていた。しかし、予選を抜けるのに難渋した。2023年は予選を抜けることはなかったのではないか?アジアの団体戦などもあったが、代表に選ばれて試合に出れたか出れなかったかぐらいの感じだったように思う。

その後もYouTubeで放送される試合があるときはなるべく試合を探して見て僕が気がついたところはなるべく伝えていた。おそらく気がついていることもあるだろうし、僕から言われたくないこともあるだろうに全て真摯に答えてくれていた。それでも僕は彼をサポートする方法はそれしかないと思い続けていた。

そしてSNSを見ていると結婚したようで本当におめでたかった。これを機に優勝なんてできるようになれば勝利の女神になり得るだろう。

そんな矢先、2024年2月ラルナカ大会で優勝🏆した。シリーズAというトップの国際大会だ。本当に良かった。

彼は本当に1年以内に世界一になった。夢をただ語るのは簡単だ。実際成し遂げるのは訳が違う。彼は実現させたのだ。僕より全然年下の若者だが尊敬せざるおえない。最近特に思う。若い才能に会う機会が増えたからか、自分が年を食ったのか(多分こっち)、感心する若者に会うことが増えた。彼はその中の一人だ。

次の目標は年間チャンピオンということになるだろう。シリーズチャンピオンになると金のラインの入った道着を着ることになる。これを目指して優勝を重ねなくてはならない。

おわりに

空手道競技はまだまだマイナー競技だ。世界を転戦するのにお金が必要なのだ。もし、興味を持っていただけた方がおられたら少しの金額でも応援してあげてほしい。僕がマージンを取ったりもしないし、そのまま彼に届けさせていただく。個人でも企業でもスポンサーについてあげてほしい。

人間性は僕が保証する。本当に気持ちのいい青年で、めちゃくちゃ強いはずなのに謙虚、ハートに熱いものがあり、かつ専門家の話には耳を貸す冷静さもある。企業とかに関してはイメージが上がること請け合いだ。「人(にん)」というか、根っこの部分での人の良さを感じる。

そんな彼、吉村郁哉選手を僕は今後とも応援していきたいと考えている。