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口腔内の金属ってなんか嫌‼️

はじめに

みなさんは口腔内に金属はありますか?インレーやアンレーという一部分の金属であったり、FMCという完全に金属の差し歯など、色々あると思います。僕はあまり金属を口に入れるということが好きではありません。しかし、保険診療では入れなければならないことがあります。それについてお話しさせていただきます。

ちなみに僕は妻と結婚するときに何をしたって、妻に入っている金属の差し歯を全部セラミックにしました。

金属が嫌な理由

金属アレルギー

パラジウム、ニッケルなどの金属が唾液中に微量に溶け出し、アレルギー(口腔アレルギー・全身性金属アレルギー)を引き起こす可能性があることが示唆されています。これは保険診療で使われる銀合金や金銀パラジウム合金に含まれる金属なのでどうしてもこのリスクを避けることができない。アクセサリーで金属アレルギーになる人がいると思いますが、口の中は基本的に唾液があるのでリスクはかなり上がることになる。

ガルバニー電流

異なる金属が口腔内に共存すると、唾液を介して微小な電流(ガルバニズム)が生じ、違和感や味覚異常、疼痛の原因になることがある。これは昔、探偵ナイトスクープという番組で確か間寛平探偵が小ネタ集でやっていたと思うのだが、アルミホイルを噛むとビリっとするひとがいるというやつだ。

気が付かない程度の違和感などがずっとあるみたいなことになる可能性があるということだ。

審美性が低い

単純に金属色というのは見た目が良くない。昔は金歯を見えるところに入れる成金が流行った時代があるそうだが、今は昔。最近ではラッパーなどがグリルズをつけていたりしますが、歯科的にいい点は本当にない。喋りにくい、つけたままだと食べれない、単純に汚いなど問題だらけだ。

ブラックマージン

これは審美性にもつながるのだが、金属で裏打ちして見える面を白いもので固めている前装冠というものがある。これであっても金属の差し歯であっても歯肉に黒い色が移ることがある。これをブラックマージンといい、単純に見た目が良くない。これらも僕が金属が口腔内にあるのが良くないと思う理由だ。

MRIでのトラブル

強磁性性の金属が含まれていると、MRIで発熱をしたり、画像が乱れたりする。インプラントなどでもこういったことが起きる。たまに歯科医師でアーチアファクトは機械の処理で消えると説明する人がいるのだが、金属のアーチファクトだけが消えるのではなく、本来見たかったであろうそのあたりの脳梗塞部位も一緒に消える。アーチファクトが消える機能はそんなに万能ではない。

特に上顎の場合は脳に近いので、要注意だ。

今まで口腔内の金属が熱を持って火傷したなどは聞いたことはないが、画像の乱れは散々見てきた。先日、アメリカで金属のネックレスをつけた男性がMRIで亡くなったという事故があった。金属関係はこういった場合も注意しなければならない。

保険で白い歯

実は保険で白い歯にできる。CAD/CAM冠というのだが、場所や条件を満たせば白くできる。僕も多くこれを選ぶのだが、欠点もある。まずはプラスチックなので強度が低い。噛む力の強い男性などでは欠けてきたりする。さらに、汚れがつきやすい。あくまで自費の材料との比較になるが、自費の差し歯で使うジルコニアやセラミックはほぼ汚ればつかない。もちろん全く0とは言わないが、なんなら自分の歯より汚れがつかないまである。何故これが大事かというと二次う蝕と言って、差し歯などの被せ物と自分の歯の間で虫歯が起きやすいのだ。

プラスチックの強度の問題もあるので、2、3年に1度やりかえるつもりでいた方がいいだろう。実際同じ材料でアメリカでは仮歯として使われている。

金属の歯は何十年と持つ可能性があるので、そういった面では優秀と言えるだろう。

自費の白い歯

当院ではジルコニアかジルコニアオンセラミックを使っているが、基本的に最終補綴(最後の被せ物)とするならば、自費の一択だ。僕は保険診療は出来のいい仮歯という位置付けにしている。今後長い人生を生きていくのに保障しづらいのだ。保険診療は基本は2年保障だと思ってもらったらいい。当院での自費の差し歯は基本5年保障にしている。ただ、自費の被せ物は取れたことも壊れたこともないので5年以上は確実に持つと思っている。

おわりに

自費の被せ物をすると「一生使えるか?」と聞く人がいる。僕はいつも「わからない」と答える。そもそもそれを入れないといけない人は何らかの問題があって当院に来ている。その人が日々の生活を改め、定期検診にも確実に来てくれるなら持つ可能性はある。

ただ、みなさんによく考えて欲しい。車を買って何十年もずっと乗れますか?整備に毎年いくらかかっていますか?スマホは何年使っていますか?いくらのスマホを買っていますか?

歯は、上は熱々のお茶90度ぐらいから下はアイス-20度ぐらいまでを行ったり来たりし、毎日確実に使い(1日の咀嚼回数は3000ー4000回、喋ることや見た目など)、男性の奥歯であれば100kg近い力がかかることもある。これらの負荷をかけているものにお金をかけることほど実用的なことなくないですか?

歯より負荷がかかって毎日使うものってかなり少ないはずなのだ。それなのに日本人は歯にお金をかけない。ものの価値観が間違っていると僕は思う。

これからおそらく歯科の保険診療は受けられなくなってくだろう。もしくはイギリスのようにとんでもない待ち時間が必要になるだろう。

ただ、誤解しないで欲しいのは一番は治療が必要ない状態を維持することだ。欠損補綴(歯のないところに歯を入れること)の第一選択はインプラントだと僕は考えている。しかし、インプラントは自分の歯の機能を超えない。

結論は自分の歯を大切にする。そして、どうしても治療が必要になった時は長い目で見て自費の補綴をしっかりするということに尽きると僕は思う。