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フッ化物を多く摂ると子どものIQが下がる?!
はじめに
ネット上でフッ素化合物を多く摂ると子供のIQが下がるという論文があるという情報がありました。
みなさんまずここで鵜呑みにしてはいけません。一次情報を当たりましょう。探しました。ありました。
これらを読んだ結論を言いましょう。
「フッ化物の曝露は子供のIQスコアに関係がある。しかし、日本では関係なさそう。」です。
どういうことかは最後まで読んで判断してください。
ここでは一次資料も上げていますので気になる方はご自身で確認してみてください。下記では「フッ化物・・・」を上の論文、「一応同じような・・・」を下の論文と表現する。
単位の勉強
まずは単位について勉強しましょう。これが前提知識です。これが計算できないひとがよく陰謀論の馬鹿げた話に乗せられているのを多く見てきました。これができないひとはネット情報を信じない方がいいでしょう。
今回使われる単位は(mg F/L)と(ppm mg F/ L)です。まずは(mg F/L)から説明します。これは1Lの水に何mgのフッ素が含まれていますという意味です。ちなみにmgはgの1/1000です。1gは1円の重さです。
ppmは parts per millionの略で100万分の1です。つまり1/1000000ということです。
1mg F/Lの100万分の1が1ppm mg F/Lということです。ここでは他の単位が出てきませんし、面倒なので
『1mg F/Lを1mg』、『1ppm mg F/Lを1ppm』と表現します。
結論を掘り下げていく
論文のレベル
まず、ハゲタカジャーナルというのがありまして、論文が論文として意味をなさないジャーナルというのがあります。それらを調べたのですが、今回引用した論文はそういうことはなさそうです。特に上の論文はインパクトファクター2023年は24あるそうなので、信頼して良いでしょう。下の方もインパクトファクターが0.3ありました。少なく見えますが、日本語のジャーナルで歯科のものはほとんどインパクトファクターがない。とりあえず信頼して良いでしょう。両方とも結論は同じことを言っています。
結論
「>1.5mgでは子供のIQ低下に関係がある。」
「<1.5mgでは関連するというには情報が足りない。」
>1.5mgと<1.5mgは飲料水でということです。
さらに下の論文では「<20ppmでは高い方がポジティブな効果が多い。」とも書かれていた。
これだけ聞くと「やっぱりフッ化物は身体によくないじゃないか!」と思うかもしれない。しかし、僕はなぜ日本では関係なさそうとしたのでしょうか。
日本の現状
日本の上水ではフッ素が含まれている量というのが平均で0.076ppm、最高で0.55ppmだからです。最高の0.55ppmですら1.5mgのおよそ1/270000だ。これで問題にはならないだろう。日本のフッ素摂取をこれ以下にしましょうという基準は0.05mg/kg体重/日だそうなので、50kgのひとで2.5mg(ここは普通のmg)ということになる。人間1日2L水を飲みましょうとか言ったりするので(現実結構難しい)、1.5mgとすると1日3mgだから日本の基準は結構妥当な気もします。
あくまでこれらの論文は飲料水に含まれているフッ素に関して言っているので、日本の歯科医院で使われているような局所使用や歯磨剤では問題ないと言って大丈夫だろう。歯科医院でよく使われているフルオール・ゼリーで9000ppm。これを1.5mgの飲料水を2L/日飲むとして、3.0mgまで摂取しようとするとおよそ320倍いる。フルオール・ゼリーは1本100gなので3.2本毎日食べないと問題あるレベルまでは難しい。ましてや市販されているレベルであればMAX1500ppmなのでさらに6倍。1920倍必要になる。毎日100gの歯磨き粉を20本近く食べれば問題になるということになる。それは確かに問題になりそうだ。
その他の要因
下の論文の内容になるのだが、交絡要因(調べたい要因とは別の要因のせいで結果に関係する要因のこと。今回ではフッ素じゃない要因。)として、フッ化物とIQの要因を調べた研究の多くは非常に高い天然発生フッ化物濃度に関連しており、ヨーロッパやイギリスでの合法最大量1.5mgをはるかに上回っている。さらに、汚染された飲料水や石炭煙汚染を通じて鉛、水銀、ヒ素などの環境汚染物質にさらされる可能性のある人口を対象にし、発展途上国で多くの研究が実施されている。としている。
要するに、発展途上国でまともに飲めたものじゃない飲料水を飲んでいる子どもと、先進国で教育を受けいている子どもとIQを比べたらフッ化物が原因とは言えないんじゃないか?ということだ。
おわりに
これらの論文は尿中に含まれているフッ素を調べており、基本的にフッ素は24時間以内に尿中から排出されるため、飲料水のようにかなり常飲するなどしないと安定して身体に存在しない。そういった意味でも日本ではリスクはほぼないと言って良いだろう。
みなさんもネット情報はしっかり精査しましょう。