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赤ちゃんの凄さを語ろう #1
はじめに
僕は独学で英語を勉強しているのだが、一向に喋れるようにならない。やはり英語は言語なので普段から使用しないとなかなか身につかない。僕自身喋れたらいいなぐらいの感覚なのが良くないのだろう。神戸で空手の世界大会があったときにドクターとして入っていたが、大会全体で4日ほどだったのだが、この4日でかなりヒアリングができるようになった。相手も平易な英語を使ってくれているだろうが、こっちも必死に聞いていたので良くなったのだろう。それも月日と共に失われていってしまった。
普通にしていても僕は英語を習得できないなと思って、そもそもの言語というものを勉強することによって理解を深めることができないか?と思ったのだ。そこで赤ちゃんはどうやって言葉を覚えるのか?というのを調べてみた。子どもは頭が柔らかいからとかいうが、第二言語を覚えるより、第一言語を覚える方が圧倒的に難しいことがわかったのだ。
子どもが喋るということはノーベル賞ものの発見をしている
赤ちゃんRPG
まずは、ロールプレイをしてみよう。赤ちゃんになりきってみるのだ。変体的な意味ではなく(笑)。
赤ちゃんは受精卵からできる。たった一つの細胞から生命体になるわけだが、その間10ヶ月ほどお母さんのお腹の中で育つ。光を浴びることもなく、羊水の中にいるので、ボワボワとした低い音が少し聞こえる程度だ。そして、急激な圧力を受け眩しい世界に降り立つ。羊水の中から地上に出てきた時、羊水内での浮力がなくなるので理論上の体感の重力は6倍ぐらいになると言われている。50kgのひとが300kgの体に急になるのだ。ましてや頭の大きいヒトという動物は親に保護を受けることを前提で歩くこともできない、親に自身の力で捕まることもできない状態でこの世に生まれてくる。300kgの重さを抱えてぶら下がれるヒトなどなかなかいないだろう。
さて、自分の身体も思った通りに動かない。急激に眩しい世界に落とされて目もあまり見えない(生まれてすぐの赤ちゃんは視力が0.1程度と言われている)。この世のことを一切何も知らない状態で生まれてきている。できることは泣くことだけ。あなたならどうするだろうか?
お腹が減った。股間の辺りが気持ち悪い。しかし、これを表現する方法はない。できることは泣くことだけなのだ。その時みなさんはどうしますか?おそらく泣くだろう。これが赤ちゃんなのだ。しかも命を自分で守ることもできず親に委ねてくる。親は必死に何が欲しいのか察しようとする。これがヒトの最初の親子関係なのだ。しばらくすると赤ちゃんの泣き声で何を求めているかわかるようになる。この能力は女性の方が優れていると言われている。同じく顔色による体調変化なども見つける力が強いと言われていて、内科医は女性の方が病気を見つける可能性が高いという論文を見たことがある。
コミュニケーション方法
そして、赤ちゃんが言語化できる訳ではないが、おそらく何らかのコミュニケーションを取らないといけないとは思うだろう。自分の意思を伝えたいと思うはずだ。その時に伝える方法は何であろうか?みなさんは普通に喋っているので言語と思うかもしれない。しかし、これは非常に限られた話をしているということがわかるだろうか?もちろん基本は言語で話をしているのだが、お腹を痛そうに抑えながら「大丈夫」と言っているひとは本当に大丈夫だろうか?要するに実際は身振り手振りや表情、顔色、声の張りなどなど他の情報もいっぱいあるのだが、『音声が重要である』ということに気が付かなければならないのだ。
これがいかに困難であるかみなさんはお分かりいただけるだろうか?
例えばハチの8の字ダンスはご存じだろうか?ある科学者がハチを見ていると巣に帰ってきた時に8の字に動いていたというものだ。その科学者はその8の字の大きさや角度で方角や距離を表しているということを発見する。この発見をした科学者はカール・フォン・フリッシュといい、1973年ノーベル生理学医学賞を受賞している。
『音声が重要である』と気がつくのは当たり前ではない。ありとあらゆる可能性から類推して『音声が重要である』とあると気が付かなければならないのだ。それはハチがする8の字ダンスに意味があると発見することと同じことでノーベル賞受賞レベルのすごいことなのだ。
しかも、音が重要であるということがわかっても環境音と人間が発する音が違うということもわからなければならない。人間の口という部位から発する特定の音に意味があるということも発見せねばならない。さらにリビングにいる父とキッチンにいる母が手を叩いて「ここにおいで」と言ったならば、ここはリビングやキッチンではなくいるところを指し、音の高さは関係なく、「おいで」のところに主に意味があり、手を叩いている音は時と場合で意味が変わり、口から出ている音もくしゃみなどには言葉的な意味がなかったりもする。
挙句滑舌の悪い父の「ほいで」と母の「おいで」は同じ意味ということも理解しないといけないとかあまりにも難問過ぎないか?
これらの発見を繰り返し、赤ちゃんは第一言語を獲得しているのだ。
赤ちゃんの発見を手助けする
じゃあ、親がしないといけないことは何かというと、『スキンシップ』(他にも多くの意味があるが今回は割愛)と『語りかけ』だ。今回の内容は言語習得に関する部分が多いので、特に『語りかけ』の話をする。『音声が重要である』とはいうものの、音は色々ある。空調の音であったり、テレビの音であったり、掃除機の音であったり、虫の声であったり。この中で特に重要な親の声というものを見つけて聞かなければならない。